相続した不動産の売却時に税金はどうなる?主な種類と申告タイミングを解説

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砂田  涼

筆者 砂田  涼

不動産を相続した後、「売却するかどうか」「どんな税金がかかるのか」など、不安や疑問を持つ方は少なくありません。実際、相続した不動産を売却する際には、想像以上に多くの税金や手続きが関係します。このような場面で、少しの知識や準備の有無が、大きな負担の差につながることもあります。この記事では、相続した不動産を売却する場合に必要な税金の種類や計算方法、効率的に節税する秘訣、手続きの流れまで、わかりやすく丁寧に解説します。

相続した不動産の売却にかかる主な税金の種類

相続された不動産を売却する際、かかる税金は大きく分けて以下の3種類です。

税金の種類 課税のタイミング 概要
譲渡所得税(所得税+住民税) 売却して利益が出たとき 売却収入から取得費・譲渡費用・特別控除を差し引いて計算し、所有期間に応じた税率が適用されます(短期:約39.63%、長期:約20.315%)
印紙税 売買契約書作成時 契約書に記載された金額に応じて段階的に課税され、現在は一定の金額まで軽減税率が適用されています。
登録免許税 相続登記時 固定資産税評価額の0.4%が課されるほか、抵当権抹消等にも一定額かかります。

まず、譲渡所得税は、売却した結果の利益に対して課税され、所得税と住民税をあわせて「譲渡所得税」と呼ぶことが多いです。計算にあたっては、売却収入から取得費や譲渡費用、さらに特別控除額を差し引いて課税所得を算出し、所有期間の長短で税率が変わります。短期譲渡(所有期間が5年以下)はおよそ39.63%、長期譲渡(5年超)はおよそ20.315%の税率です 。

次に印紙税は、不動産売買契約書を作成する際に記載金額に応じて税額が変わり、軽減措置が令和6年3月末まで適用されています 。

最後に登録免許税は、相続登記を行う際にかかるもので、課税額は固定資産税評価額の0.4%です。さらに抵当権抹消登記などにも別途費用がかかります 。

譲渡所得税の計算と節税につながる制度(売却益に対する税金と控除)

相続した不動産を売却する際、譲渡所得税の計算方法や節税に役立つ制度を正しく理解しておくことが重要です。

まず、譲渡所得の計算は以下の式で求められます。

項目
譲渡所得収入金額 −(取得費 + 譲渡費用) − 特別控除

このうち「取得費」には、不動産を取得した際の購入価格や諸費用が含まれます。「譲渡費用」には仲介手数料や測量費などの売却にかかった費用が該当します。さらに“大きな節税”として活用したいのが以下の制度です。

① 被相続人居住用財産に対する三千万円特別控除制度
被相続人が一人で居住していた住宅とその敷地を相続後に譲渡した場合、要件に該当すれば譲渡所得から最大三千万円を控除できます。ただし、相続人が三人以上の場合、控除額は二千万円までとなります。適用対象期間は、令和七年十二月三十一日までです。

② 取得費加算の特例(相続税の一部を取得費に算入)
相続税の申告期限の翌日から起算して三年十か月以内に売却する場合、相続税のうち該当不動産分を取得費に加算できます。本特例を用いると譲渡所得が圧縮され、結果として譲渡所得税および住民税の負担を軽減できます。

ただし、これらふたつの特例は重複利用できず、有利な制度を選択する必要があります。 また、取得費加算の特例を活用するには、確定申告時に必要書類(譲渡所得の内訳書や相続税の取得費に加算される相続税の計算明細書など)を添付して申告しなければなりません。

最後に、譲渡のタイミングについても重要です。相続財産の所有期間は被相続人の取得日から通算されるため、売却時期によって「短期譲渡所得」(所有期間5年以下)か「長期譲渡所得」(5年超)かが判断され税率が大きく異なります。短期の場合はおおよそ39.6%、長期の場合は約20.3%の合計税率となり、節税の観点からは、可能であれば長期譲渡所得となる時期に売却することが望ましいです。

手続きにかかる税金と申告のタイミング(登記・契約・申告の流れと税の負担)

以下の表は、相続した不動産を売却する際に必要となる主な登記・契約・申告のタイミングと、それぞれにかかる税金の種類および納付時期を整理したものです。見やすくまとめておりますので、ぜひご参照ください。

手続き 税金の種類 納付・申告のタイミング
相続登記(所有権移転登記) 登録免許税 相続登記申請時。評価額 × 0.4%(100円未満切り捨て)で計算
売買契約の締結 印紙税 契約書作成時に収入印紙を貼付して納付
譲渡所得税および住民税の申告 所得税・住民税(譲渡所得税) 売却の翌年、2月16日から3月15日の間に確定申告

まず、相続登記にかかる登録免許税は、不動産の「固定資産税評価額」を基に算出します。税率は0.4%であり、例えば評価額を合計して算出した課税標準に0.4%をかけ、100円未満を切り捨てた額が登録免許税です。所有者不明土地対策など特定の免税措置も存在しますが、基本的にはこの計算に基づいて納付します(例:評価額2,000万円なら登録免許税80,000円)。

次に、売買契約の際には印紙税がかかります。これは契約書の種類や取引金額によって税額が決まりますので、契約書に貼付する収入印紙の金額も注意が必要です。なお本見出しでは印紙税の詳細金額には触れておりませんが、契約書作成時に必ず忘れず納付してください。

最後に、譲渡所得税(および住民税)の申告です。不動産を譲渡した翌年の2月16日から3月15日までの間に、確定申告を行う必要があります。譲渡所得の金額は「譲渡収入−取得費−譲渡費用−特別控除」で計算し、その金額に応じて課税されます。申告が必要な場合、期間内に申告しないと無申告扱いとなり追徴課税の対象にもなりますので、準備は早めに進めてください。

このように、相続登記から売却後の申告まで、一連の流れにはそれぞれ所定のタイミングで税金を納める必要があります。手間を減らし、ミスを防ぐためにも、司法書士や税理士などの専門家に相談することで安心して進められます。

節税に向けた実務的なポイントと専門家への相談のすすめ

相続した不動産を売却するときには、必要な書類を早めに整理し、希望する特例を適用できるよう計画することが重要です。以下は実務的な視点から押さえておきたい主なポイントと、相談のタイミングについてまとめた表です。

項目 内容 具体的な注意点
書類整理と取得費の証明 売買契約書、相続時の資料、領収書を一元管理 取得費が不明の場合は概算取得費を使用、相続税を支払った場合は取得費加算特例の準備も必要です。証明資料がないと特例適用が困難になります。
売却時期の計画 期限に合わせて売却のスケジュール調整 「空き家特例」は相続開始から3年以内(その年の12月31日まで)、「取得費加算の特例」は相続税申告期限翌日以後3年以内(最長で相続開始から約3年10か月以内)に注意が必要です。期限を過ぎると特例が利用できなくなります。
専門家への相談 税理士や司法書士への早期相談 書類準備に不安がある場合や、複雑な特例の選択が必要な場合は、申告漏れや誤適用による損を避けるため、早めに専門家へご相談ください。

まず、売却に必要な資料を漏れなく揃えることが大切です。取得費が不明な際には概算取得費を用いることも可能ですが、相続税を支払っている場合は取得費加算の特例を活用できるよう、相続税申告書のコピーの保管も必要です。これらの資料がなければ、特例の適用を受けられないことがあります。

次に、売却の時期を慎重に計画しましょう。「空き家特例」(被相続人居住用財産への3,000万円控除)は、相続開始から3年以内(その年の12月31日まで)に売却が完了している必要があります。「取得費加算の特例」は、相続税の申告期限翌日以後から数えて3年以内、つまり相続開始日から最長で3年10か月以内の売却が要件となりますので、期限を正しく把握しておくことが重要です 。

最後に、自力で進めることに不安がある場合や、複数の特例を比較・選択しなければならないケースでは、税理士や司法書士への早期相談をおすすめします。専門家に相談しておくことで、書類漏れや期限の誤認による特例適用の失敗を防ぎ、安心して手続きを進められます 。

まとめ

相続した不動産を売却する際には、譲渡所得税や印紙税、登録免許税など多くの税金が関わるため、正確な知識と早めの準備が重要です。計算方法や特例の適用条件を事前に理解することで、無駄な税負担を避けやすくなります。必要書類の整理や、売却時期の見極めもポイントです。また、複雑な税制に迷った場合は、専門家へ早めに相談することで、スムーズかつ安心して手続きを進めることができます。大切な資産を守るため、ぜひ適切な準備を心掛けてください。

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